2026年の年収の壁は何が変わった? 2025年分との違いを金額で比べる
2026年分(2026年1〜12月のバイト代)から、学生バイトの「年収の壁」の位置がいくつか動きました。この記事では、2025年分と2026年分の数字を並べて、何がいくら変わったのかを説明します。
公開日:2026年10月29日/数字の確認日:2026年10月27日
給与(バイト代)だけで収入があり、障害者控除などに当てはまらない大学生を想定しています。自分の年収を入れて判定したいときは、年収の壁チェッカー 学生版をお使いください。
2025年分と2026年分の壁を、金額で比べる
ここでの「年収」は、税金や社会保険料を引かれる前のバイト代の合計です。
| 何の壁か | 2025年分 | 2026年分 |
|---|---|---|
| 本人に所得税がかかり始める | 160万円超 | 178万円超 |
| 親が扶養控除を受けられる上限 | 123万円以下 | 136万円以下 |
| 親が特定親族特別控除を受けられる上限 | 188万円以下 | 197万円以下 |
| 本人が勤労学生控除を受けられる上限 | 150万円以下 | 163万円以下 |
| 本人の住民税が非課税になる目安(扶養親族なしの場合) | 110万円 | 119万円(自治体により差があります) |
| 親の健康保険の扶養(19〜22歳) | 150万円未満 | 150万円未満 |
2025年分の160万円・123万円・150万円は、2025年分の控除額(基礎控除95万円、給与所得控除の最低額65万円、扶養の所得要件58万円、勤労学生控除の所得要件85万円)から計算した金額です。188万円は国税庁の資料に書かれた金額です。健康保険の150万円は、税金の「年分」とは別の決まりで、2025年10月1日以降の認定から使われています。住民税の119万円は2027年度分(2026年の所得にかかる分)からの目安です。
なぜ178万円になったのか
所得税は、次の順で計算します。
- 年収から「給与所得控除」を引いて、給与所得を出します。給与所得控除は、給与の収入から一定の金額を差し引く仕組みです。
- 給与所得から「基礎控除」などの控除を引くと、税がかかる所得(課税所得)になります。千円未満は切り捨てです。
- 課税所得に税率をかけて、税額を出します。
年収が74万1,000円以上219万1,000円未満のとき、給与所得は「年収 − 74万円」です。2025年分は、この74万円の部分が65万円でした。基礎控除も95万円から104万円に上がっています。
2025年分:65万円 + 95万円 = 160万円
2026年分:74万円 + 104万円 = 178万円
どちらも9万円ずつ上がったので、壁は合計18万円分動きました。
境目は細かく見ると、178万円ちょうどまでは所得税が0円です。178万1円〜178万999円は、課税所得が千円未満になって切り捨てられるため、やはり0円です。課税が始まるのは178万1,000円以上です。
扶養控除の「子の所得の上限」も、58万円から62万円に上がりました。年収でいうと、123万円から136万円です(62万円に74万円を足した金額)。
基礎控除の104万円は、令和8・9年分(2026年分と2027年分)に限った金額です。国税庁の表では、令和10年分(2028年分)以後は99万円になっています。この178万円は、ずっと続く数字ではないと考えておくと安心です。
この改正は2026年12月1日に施行され、2026年分から適用されます。1年分の税額は、年末調整でまとめて精算されます。年末調整を受けられない場合の手続きは、勤め先や税務署に確認してください。
親の控除は、段階的に小さくなる
19歳以上23歳未満(12月31日の時点)の子どもには、「特定親族特別控除」があります。バイト代が増えて親の扶養控除の対象から外れても、すぐに控除がゼロになるのではなく、階段のように少しずつ小さくなります。
| 子の合計所得金額 | 給与だけの場合の年収の目安 | 親の控除額 |
|---|---|---|
| 62万円以下 | 136万円以下 | 扶養控除の対象(特定扶養親族に当たる場合は63万円) |
| 62万円超 85万円以下 | 136万円超 159万円以下 | 63万円 |
| 85万円超 90万円以下 | 159万円超 164万円以下 | 61万円 |
| 90万円超 95万円以下 | 164万円超 169万円以下 | 51万円 |
| 95万円超 100万円以下 | 169万円超 174万円以下 | 41万円 |
| 100万円超 105万円以下 | 174万円超 179万円以下 | 31万円 |
| 105万円超 110万円以下 | 179万円超 184万円以下 | 21万円 |
| 110万円超 115万円以下 | 184万円超 189万円以下 | 11万円 |
| 115万円超 120万円以下 | 189万円超 194万円以下 | 6万円 |
| 120万円超 123万円以下 | 194万円超 197万円以下 | 3万円 |
年収の目安は、合計所得に74万円を足した計算値です。控除額は、親の所得から差し引ける金額です。減る税金の額そのものではなく、親の所得や税率によって変わります。親側の条件もあるため、親の勤め先の年末調整の案内で確かめてください。
ポイントは、63万円の満額が続くのが159万円までという点です。2025年分は123万円を超えると特定親族特別控除の区分に入りましたが、2026年分は136万円超から区分に入ります。
例で確かめる:年収150万円と180万円の大学生
12月31日の時点で20歳の大学生が、給与だけで2026年に稼いだとします。
例1:年収150万円の場合
- 給与所得:150万円 − 74万円 = 76万円
- 親の控除:合計所得76万円は62万円を超えるので、扶養控除の対象ではありません。特定親族特別控除の「62万円超85万円以下」に入り、63万円です。
- 本人の所得税:76万円から基礎控除104万円を引くとマイナスになるので、0円です。
- 親の健康保険の扶養:150万円は「150万円未満」に当たりません。年収の見込みが150万円なら、扶養に入れない可能性が高くなります。
この例は、税金の控除は満額なのに、健康保険だけが先に壁にぶつかる典型です。
例2:年収180万円の場合
- 給与所得:180万円 − 74万円 = 106万円
- 親の控除:合計所得106万円は「105万円超110万円以下」に入り、21万円です。満額の63万円より42万円小さくなります。
- 本人の所得税:106万円 − 104万円 = 課税所得2万円。所得税の税率5%に復興特別所得税を加えた約5.105%で計算すると、2万円 × 5.105% = 約1,000円です。
- 勤労学生控除:年収163万円を超えるので、対象外です。
178万円を2万円超えても、本人の所得税は約1,000円です。税金だけを見れば、大きな負担にはなりません。一方で、親の控除は小さくなっていきます。親子の分を合わせて考えることが大切です。
ほかの年収で試したいときは、年収の壁チェッカー 学生版に金額を入れると、同じ計算を一度に確かめられます。
「160万円の壁」という古い情報と、別の壁に注意
インターネットには、「学生は160万円を超えると所得税がかかる」という説明がまだ多く残っています。これは2025年分までの数字です。2026年分は178万円超です。
ややこしいのは、160万円付近にも別の意味の数字があることです。2026年分の特定親族特別控除では、159万円を超えると控除額が63万円から61万円に下がり始めます。160万円という数字を見かけたら、何年分の話か、本人の所得税の話か親の控除の話かを確かめてください。
次の壁は、所得税の178万円とは別の決まりです。
- 住民税:基礎控除は43万円のままです。扶養親族のない一人暮らしなどでは、給与収入119万円以下が非課税の目安です。119万円を超えると、178万円の手前でも住民税がかかることがあります。金額は自治体で異なるため、お住まいの市区町村の案内で確かめてください。
- 勤労学生控除:年収163万円以下(合計所得89万円以下)で、特定の学校の学生であるなどの条件を満たすと、27万円の控除を受けられます。
- 親の健康保険の扶養:19〜22歳は150万円未満です。税金の壁と数え方が違います。詳しくは親の健康保険の扶養の解説をご覧ください。
根拠にした公式資料
- 国税庁 No.1410 給与所得控除
- 国税庁 No.1199 基礎控除
- 国税庁 No.1180 扶養控除
- 国税庁 No.1177 特定親族特別控除
- 国税庁 No.1175 勤労学生控除
- 国税庁 所得税の基礎控除の引上げ等に関するQ&A(令和8年5月)
- 総務省 個人住民税の基礎控除等について(令和8年5月)
- 横浜市 令和8年度税制改正のよくある質問(自治体の公式ページ)
- 日本年金機構 19歳以上23歳未満の被扶養者の収入要件
この記事は、給与だけの収入で、障害者控除などに当てはまらない場合の目安です。複数のバイト先がある場合や、年収が境目の近くにある場合は、勤め先・税務署・加入している健康保険の窓口で確認してください。住民税の金額は自治体で異なります。